東京高等裁判所 昭和26年(う)363号 判決
原審第四回公判調書にはその末尾には裁判官前田了吉の署名捺印はあるけれどもその冒頭部分には単に「裁判官 裁判所書記官補福田和夫列席の上検察官戸谷定吉出席し公開の公判廷で公判を開いた」旨の記載があるのみで列席した裁判官の氏名の記載を欠いていることはまことに論旨の指摘するとおりであつて刑事訴訟法第四十八条改正前の同規則第四十四条第二号に違反し同期日の公判は如何なる裁判官によつて構成されたものであるかを知るに由なく結局法律に従つて適法に判決裁判所が構成せられたか否かも証明がないことに帰し且つ右公判期日には判決の基本となる審理がなされているのであるから、かくの如き訴訟手続の法令違反は判決に影響を及ぼすことは明らかであるといわざるを得ない。
それゆえ論旨は理由があり原判決は破棄を免れない。